岩城宏之氏・佐藤功太郎氏逝く
先週は、日本のクラシック音楽界にとって、悲しいニュースが続きました。
指揮者:岩城宏之氏
6月13日午前0時20分、心不全のため都内病院にて逝去、享年73歳。
指揮者:佐藤功太郎氏
6月15日、十二指腸がんで逝去、享年62歳。
岩城宏之さんの指揮する演奏会には、たびたび行きましたが、ここ数年はなかなか機会がなく、この演奏会が最後でした。
京都市交響楽団第443回定期演奏会
(2002年4月20日 京都コンサートホール)
指揮:岩城宏之/フルート独奏:高木綾子
曲目:山口恭子/だるまさんがころんだ
一ノ瀬トニカ/美しかったすべてを花びらに埋めつくして… ~フルートと室内オーケストラのための~
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」
すでに何度も手術を繰り返し、身体はボロボロになっていたであろうと思われますが、そんなことは微塵も感じさせない、ダイナミックな「悲愴」であったことが、今も記憶に残っています。
同じ年代の指揮者である外山雄三さんによれば、50年前の岩城さんのデビュー演奏会のメインは「悲愴」だったとのこと。
ライフワークであった日本人作曲家の作品と同様に、「悲愴」もたいへんこだわりのある作品だったのでしょうか。
6月25日(日)、9:00からテレビ朝日系列での「題名のない音楽会」、7月2日(日)21:00からNHK教育テレビでの「N響アワー」で、追悼特集を放映するようです。
佐藤功太郎さんといえば、私がクラシック音楽をコンサートで聴き始めた頃、最も多く聴く機会のあった指揮者です。
1980年頃、常任指揮者不在で低迷していた京都市交響楽団の定期演奏会の多くを、佐藤さんが指揮されていました。
当時佐藤さんはまだ30代後半。今でいえば金聖響さんくらいのお歳の頃に、閑古鳥の鳴き、寒々しく貧弱な音響の京都会館第一ホールで、孤軍奮闘されていました。
私は、佐藤さんの指揮で演奏する機会はなかったのですが、母校のオーケストラにはたびたび客演されていました。
私が中学校の頃、母校のオーケストラを初めて聴いた時の客演指揮者が佐藤さんでした。
そして、大学を卒業して十余年たってから聴いた、2002年の定期演奏会に客演されたのを聴いたのが、私にとって、佐藤さん指揮の最後の演奏会となりました。
心より、ご冥福をお祈りいたします。
(追伸)
7/2(日)の「N響アワー」は、岩城宏之さんの追悼特集でした。
若きころの映像とともに、10年前にN響と共演した「悲愴」が放映されました。
黛敏郎:涅槃交響曲
![岩城宏之/ムソルグスキー:展覧会の絵[ジュリアン・ユー編曲]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/asahi-record/cabinet/965/00000535965.jpg?_ex=64x64)
黛敏郎:涅槃交響曲
この記事へのコメント
びっくりしました、佐藤氏が亡くなられたことは知らなかったので。D大の定期の予定があったようですね。
お二人とも、まだお若いのに本当に残念です。
コメントありがとうございます。
どちらも、京都の音楽ファンにはなじみ深い方でしたね。
岡崎や北山の風景と、お二方の指揮台での姿が思い出されます。
これからも、いろいろ書いてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、Tanyさんの文章、心に沁みました。噛みしめながら読ませて頂きました。
土曜日未明、クラシックロイヤルシートで、岩城さんの悲愴が流されました。N響渾身の熱演で・・・・思わず、泣けてきてしまいました。
功太郎さんのことも、Tanyさんの文章を読みながらしんしんと思い出されます。
功太郎さんのCD・DVDなど、なんとか発売にならないかなあ、と切に思いました。
コメントありがとうございます。
ぐすたふさまの日記も、とても心に沁みますね・・・。
私にとっては、20数年前、クラシックを聴きはじめた頃に、最も身近な存在だった指揮者が、佐藤功太郎さんでした。
今でも音楽を好きでいられるのは、佐藤さんのおかげかもしれません。
今後も、いろいろ書いてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
佐藤功太郎さんの訃報、本当に驚きました。
京響の歴史にとっても、欠かせない恩人のような方だったんですね。
京都会館、今ではちょっと懐かしい響き…。
京響はもとより、ジャズのMJQも、カウントベイシーも、みんなここで聴きました。
病気と格闘しながら尽力する岩城さんの姿に励まされました。一度演奏を聴きたかったです。
コメントいただきありがとうございました。
当時の京響、中学生の私にとっても、がっかりしてしまうような演奏も多かったのですが、それもまたなんともいえず懐かしい思い出です。
これからも、いろいろ紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
コメントありがとうございます。
岩城さんの最晩年の演奏を聴くことはできませんでしたが、いつも「熱い」ものを感じさせる指揮者だったと思います。
これからもいろいろ書いてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
佐藤功太郎さんを存じ上げないほどの門外漢ですので、クラシックの造詣の深い方にTBいただいてしまい、身を縮めております。
●岩城さんのニュース、ほんとうにショックでした。また、いろんな方が同じようにショックを受けていることを知り、岩城さんの人間の大きさを改めて感じています。
●日ごろそれほどクラシック音楽を聴くほうではないのですが、それでも岩城さんは別格でした。ご冥福をお祈りいたします。
●佐藤功太郎さんは、私も残念ながら存じ上げてなかったのですが、ネットで調べましたら東京芸大の教授で、関東では有名なお方だとか。お年も若かったみたいだし、ファンの方だったら、さぞかし無念だったことと思います。
●最近はこの世の無常を感じることが多いのですが、私も何かひとかけらでも残せるよう、これからの人生をしっかりとまっとうしたいと思っています。時々のぞかせていただきます。ありがとうございました。
自分のブログでも書きましたが、私は岩城氏の得意とされる「悲愴」に馴染めず指揮の面では今ひとつ好きになれませんでしたが、氏の偉大な功績については哀悼の意を表したいと思います。
佐藤氏につきましてはお名前だけしか知らず、全くお聴きしたことがありませんでした・・・若くしての他界、大変残念ですね。
団と談の段違いですが、20数年前から当時は手書でパーソナルシンブンを発信してきました。いろいろ情報ありがとうございました!
岩城宏之のデビュー演奏会を聴いてから半世紀、名演奏を聴かせてくれた演奏家が次々と他界し、寂寥の感一入です。
私は岩城さんの指揮姿をテレビでしか拝見したことがないのですが、そのことがとても残念です。演奏会の会場で聴いてみたかったです。
Kenboさま>コメントありがとうございます。私も、岩城さんは、業績だけでなく、人々の記憶に残る大指揮者だったと思います。
会長0804さま>コメントありがとうございます。私も、実演を聴くまでは、岩城さんの表現が平板に思えていました。しかし、実演では、その率直さ、潔さが非常に心地よく感じました。
しじゅうからさま>コメントありがとうございます。これからもいろいろ楽しい話題を楽しみにしております。
ゴンノリンさま>コメントありがとうございます。たいへん格調高い話題と内容に、心より敬服申し上げます。
セろよんさま>コメントありがとうございます。私も、中学生の頃、岩城さんの本を図書館で借りてよく読んだのが懐かしいです。
はれうさま>コメントありがとうございます。私も、若い頃の岩城さんの実演に接する機会がなかったのが、とても残念です。
不死身なイメージがあった岩城氏でした。
非常に残念です。
岩城氏のエッセイを読み返し、また先日の放送でのお言葉が心に沁みます。
岩城氏の「悲愴」は印象的でした‥
最近のベートーヴェンも興味深く聴いていました。
音楽家としての視点から書かれたエッセイも、同業者として大いに共感を覚えるもので、主人共々愛読していただけに、本当に残念です‥
佐藤さんとは2年前にオペラの舞台でお世話になりました.端正な音楽作りが本当に印象的でした.同じ舞台で今年も・・とお伺いしていましたのに,残念です.
コメントありがとうございました。
ただいま、N響アワーでの追悼特集を見ております。
指揮者としても、人間としても「熱い」、男・岩城宏之のことは、音楽ファンとして大切に記憶していきたいと思います。
これからも、いろいろと書いてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
昨日まで岩城宏之という音楽家のことを全く知らなかったのですが、N響アワーでそのダイナミックな指揮振りに感動しました。
若き日の岩城氏の映像と比べると、最後の「悲愴」はとても痩せて見え、病魔に冒されていた氏が気の毒に思えました。
日本音楽界はまた大切な人を失ったんですね。
コメントありがとうございます。
今日の日経新聞にも、俵万智さんからのエッセイが載っていましたが、
音楽界のみならず、非常に様々な分野の方々に、岩城さんは愛されていたんだなということが分かりますね。
これからもいろいろ書いてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
感じが致します。私も京都のある大学オケで指揮を
されている佐藤氏をよく見ました。更に今年の秋の
定期演奏会で指揮される予定だったので余計に残念
です。京響での演奏もよく聞きました。甘いマスク
で指揮をされる姿は印象的でした。岩城氏はテレビ
等での印象しかないですが、情熱的な指揮ぶりは何故か引き込まれる魅力をお持ちでした。残念です!
新浦安様同様、京都で佐藤氏の演奏会を聴いていた
ファンはがっかりしているでしょう。お二人を偲び
作品を聴きます。突然のコメントで失礼しました。
コメントいただき誠にありがとうございます。
佐藤さんがよく指揮されていた京都の大学オケ、私もそこのOBです。
私の現役の頃には、お招きしませんでしたが、その前後にたびたび客演されていました。
これからも、いろいろ書いてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
佐藤功太郎さんの思い出をひとこと。
私は佐藤氏の指揮で、複数のオケで演奏させていただいた経験がありますが、
彼の振る第九は、特別な音がしました。
第4楽章の4分の6拍子のフーガのところで、弦楽器は、それはもう大変な忙しいパッセージを弾かなければならないのですが、彼の棒のもとでのテンポだと、コントラバスが入ってくる所で天からの響きか、はたまた神の声のような荘厳な音がするのです。
オケが違っても、会場が違っても同じ響きがしました。
またそのときのオケが特別にコントラバスが多かったわけでもありません。彼は、いちばんコントラバスが良く響くテンポを知っていて、その結果どこのオケでもその神の音を引き出せたのだと思います。
他のどんな有名な指揮者が振っても、この音は体験したことがありません。
もしかすると、もう聴こえることのない音をベートーヴェンが想像した通りに指揮が振れる唯一の人だったのかもしれません。
もう、あの棒で、あの音を体験できないのは本当に残念でなりません。
コメントいただきありがとうございます。
そうですか、私もたぶん、佐藤さんの指揮する「第九」を聴いたことがあると思うのですが、残念ながら記憶に残っていません。
昔、京都会館で聴いた、佐藤さんが指揮する京響演奏が懐かしいです。
今後もいろいろ書いてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。